識者によるおすすめの作品コメント 福島治

福島治  Fukusima Osamu

グラフィックデザイナー / ソーシャルデザイナー

1958年広島生まれ。浅葉克己デザイン室、ADKを経て、1999年(有)福島デザイン設立。「unicef祈りのツリー」「JAGDAやさしいハンカチ」など、デザインにおける社会貢献の可能性を探求、実践する。
2018年障害者の創作活動支援のため、CSV型企業の(株)フクフクプラスを仲間と立ち上げる。
2020年、市民芸術祭「アートパラ深川おしゃべりな芸術祭」発起人・総合プロデューサー。2022年は13日間で136,000人を集客。
2021年、「繊維ゴミを資源に変える」一般社団法人サーキュラー コットン ファクトリー創設メンバー及び理事。

世界ポスタートリエンナーレトヤマ・グランプリ、メキシコ国際ポスタービエンナーレ第1位、カンヌ広告フィスティバル・金賞、障害者生涯学習支援の功績により文部科学大臣表賞など国内外の30以上の賞を受賞。

東京工芸大学デザイン学科教授、(株)フクフクプラス取締役、日本デザイナー学院顧問、一般社団法人深川アートパラ理事、一般社団法人サーキュラー コットン ファクトリー理事、一般財団法人森から海へ理事、国際グラフィック連盟、JAGDA、TDC会員。

鈴木 文明

 Fumiaki Suzuki

鈴木文明_鷹_728_515*728

鈴木文明_とんぼ_515*728

鈴木文明_女性像2_515*728

1947年生まれ。社会福祉法人 草笛の会所属。
マーカーを使って描く。高齢化に伴い集中力にムラが出るようになってきたが、それでも描く事や作品展出品、受賞などの願望があり、楽しく参加している。女性の絵を描くのが好き。

識者おすすめのコメント

まるで鮮やかな色彩の雨を風神と雷神が撒き散らせたような作風が鈴木文明の魅力である。その色彩の騒乱の中に、ぽっかりと穴が開いたような白い空間が、美しくふくよかな女性の肌になっている。ふくよかで美しい女性の肌だけは、色が塗られてなく、初雪が降り積もった聖地のように白く守られている。女性は何も纏わず白い肌を露出している。この女性は母なのか、鈴木の理想の女性なのかは謎である。
女性以外のカエルや狼、鷹、トンボなどのモチーフは、その中まで色彩の密度は変わることなくびっしりと塗りつぶされている。なぜ、女性の肌には何も描いてないのだろうか、鈴木が容易に踏み込むことができない聖域なのだろうか。
障がいのあるアーティストの特徴の一つに鮮やかな色彩があるが、鈴木の色彩表現は生命力に満ち溢れている。色の中に命のリズムがあり、情熱的なダンスを踊っている。私の心はすっかり色彩の渦に巻き込まれ、溺れてしまっている。