識者によるおすすめの作品コメント 小池アミイゴ
小池アミイゴ Amigo Koike
1962年群馬県生まれ。長沢節主催のセツモードセミナーで絵と生き方を学ぶ。
1988年よりフリーのイラストレーターとして活動をスタート。仕事多数。
90年代はCLUB DJとしてイベントを企画。デビュー前夜のclammbonやハナレグミなど多くのアーティストの実験現場として機能させる。
0年代は日本の各地で暮らす人と共に、ライブイベントやワークショップを企画開催。
2011年3月11日以降、東北の各地を巡り作品を制作、個展「東日本」を青山のspace yuiで継続開催。地方巡回を続ける。
18年~19年、小山薫堂氏とのアートプロジェクト「旅する日本語」を羽田空港第一ターミナルで展開。
17年~、福島藝術計画×ASTT福島県奥会津エリアの子どもたちとのアートプロジェクトを継続中。
18~22年、子どもたちと地域が繋がる代々木八幡ガード下壁画”とみがやモデル”
22年、武蔵野市立吉祥寺美術館での子どもワークショップ「ムサシノジュラシック」開催。
23年、香川県直島で子どもアートプロジェクト開催。
絵本「とうだい」(福音館書店、作画担当)、「うーこのてがみ」(角川書店)、「はるのひ」(角川書店、日本絵本賞受賞)など。
東京イラストレーターズソサエティ(TIS)理事長。
www.yakuin-records.com/amigos
佐藤 和紀 |
Kazunori Sato |
1970年生まれ。社会福祉法人 草笛の会所属。
温厚で落ち着いた性格で、細かく丁寧に、そして根気よく作品作りをする。
作品展の見学、モチーフの選択の広がり、画材の充実などにより、画面全体を丁寧に塗る描き方が完成する。
観察力があり意欲・意識も高く、描くサイズも大きくなってきている。菊川美術展・愛護ギャラリー展受賞歴多数。
識者おすすめのコメント
佐藤和紀さんが描く街、おしゃれだね~!もうちょっとカッコよく言っちゃえば「クールだね~」イエイ!
「おしゃれ」と言うと『鼻持ちならないカッコつけ』を思い浮かべる人もいるかもしれないけど、そんな上っ面なカッコつけの手前で、「おしゃれ」って「生きる力」て言い換えられちゃうくらい、人のなんちゃ無い日常をキラキラ潤してくれるものだと思うんよね。ということで、自分は心に響く絵に出会った瞬間、「わかろう」なんてまどろっこしいことする暇も無く、0.1秒の反射で「おしゃれ~!」とか「かっこいい!」とか「セクシーだね~」とか、なんなら「エロいね~」なんて言葉が溢れてきちゃうんよね。そうした日常を生きる上での力になってくれる言葉、言い換えれば嘘の無い言葉が溢れちゃう絵って、やっぱ好きだなあ~。
あらためて佐藤さんの絵を見ると、この人は描きたいものを確信を持って描いてるな~。いや、今回紹介されたみなさん、みんな描きたいものを確信を持って描いている。人ひとりが「ポジティブな確信を持って事を成す姿」は、それがどんなジャンルのことであっても、美しくおしゃれでセクシーなことだと思いませんか?なんてことを、今回のあらためて佐藤さんの作品に出会って確信したのです。
識者よりメッセージ
「芸術はよくわからない」という方に質問です。たとえば「秋晴れの澄み渡った空」を見上げて「綺麗」と思うことがあるかと思いますが、「わかった」と思うことはありますか?「芸術をわかる」ということは、それくらいどうでもいいことだと考えます。美味しいごはんを頂いて「美味しい」と思ったり、美しい人に出会い「好きだ」と思ったり。いやいや「この食材はどこどこ産の高級なものだとわかった」とか、「マッチングアプリで知り合って趣味が同じと”わかって”付き合うことにした」とかが当たり前に語られる時代なわけですが、それでもあなたが思う「美味しい」や「好き」は誰からも否定されるものでは無いはずです。
もしくは、有名作家の行列のできる展覧会に行ったとします。でもちっとも面白くなかったと思ったら、それはあなたにとって面白くない芸術でしかありません。多くの方は作品に添えられた細かい文字で綴られた解説文を読んで「わかった」と思うようですが、それは文字を読むのが好きな人の感想です。
障がいを持った方の作品に対しても同じです。あなたが心動かされるものがあれば、それはあなたにとって心動かされた作品であります。でなければ「興味を持てなかった絵」でしかありません。
それでもボクは「障がいを持った人の作るもの」には大きな感動を感じることが多いです。それは「確信を帯びた作品」であるからです。ある人が「赤い車を描くぞ」と思ったら、途中目の前で起きる絵画的発見に驚きながらもも、最後まで赤い車を描こうとするから感動がある。人ひとりが何かポジティブな確信を持って進む姿は、それがどんなジャンルであっても感動してしまうあの感じです。が、多くの人が「絵を描けない大人」になってしまうのは、「赤い車を描こう!」と思うも、途中から「褒められる赤い車を描かなくちゃ」とか「もっとアートっぽくしないと笑われちゃうかも」みたいな考えが働くからではないでしょうか。
多くの方が子どもや障がい者が描く絵を見て「天才」という言葉を使ってしまいがちですが、あなたも元々は天才だったのですが、その「天才」は放棄されたのでは無く、「わかる」という言葉に代表される意識が蓋をして閉じ込めてしまっているだけなのです。
話を戻します。
「秋晴れの澄み渡った空」を見上げた時が、実はあなたが手痛い失恋をした次の朝だとしたら、さて青い空はどんなふうに見えるでしょうか。
芸術やアートと言われるものに対しても同じく、辛い、悲しい、嬉しい、楽しいなどなどのご自身の「今」を通して接し、仮に生きている間に好きになった絵が1枚しか無かったとしても、それはあなたの人生をとても豊かにしてくれる出会いとなります。
みなさん、まずは楽しんで。