識者によるおすすめの作品コメント 櫛野展正

櫛野 展正  Kushino Nobumasa

アーツカウンシルしずおか チーフプログラム・ディレクター
クシノテラス主宰
2000年より知的障害者福祉施設で介護福祉士として働きながら、2012年より広島県福山市鞆の浦にある「鞆の津ミュージアム」でキュレーターを担当。2016年4月からは、アウトサイダー・アート専門スペース「クシノテラス」オープンのため独立。表現せずにはいられない人たちに焦点を当て、全国各地で取材を続けながら執筆や展覧会の企画などを行う。
著書に『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』(イースト・プレス)、『アウトサイドで生きている』(タバブックス)など。

 

 

 

オオハシ

増田 亮太

Ryota Masuda

紙にペン・マーカー  515mm×364mm

1995年生まれ。牧之原市在住。
特別支援学校の美術部に入部した時から描くことに楽しみを感じ、モチーフから感じた線の動きや光の変化を独特な表現で描き始めた。
特別支援学校卒業後にwaC(ワンダフル・アート・コミュニティ)に参加。
信頼できる人や仲間から描く楽しみを感じ、自身の表現を模索。
艶やかでダイナミックな構図と躍動感、彼独自の輝く虹色の発光表現が絢爛な世界を創り出している。

 

 

 

識者おすすめのコメント

マーカーやパステルなど使用する画材が変わっても、「これは誰が描いたものだ」とすぐに認識できること。
仮にそれを「画風」と呼ぶのだとしたら、1995年生まれの若い増田亮太さんは既に自分だけのスタイルを確立しているようです。
その作品の特徴はなんと言っても、大胆な構図と色彩の豊かさにあります。
たとえば、日本では虹は一般的に7色と認識されていますが、南アジアのバイガ族は虹の色を2色、アフリカのアル部族は8色と捉えているなど、国や文化の違いによって物ごとの認知の方法はさまざまです。
そのように考えていくと、増田さんは事物を多様な色彩を伴った実体として認識しているようにさえ感じてしまいます。
増田さんが描く豊かな色彩の絵画は、凝り固まった僕らの常識を鮮やかに解きほぐしてくれる存在なのかも知れません。

 

 

 

作者その他の作品

「クロコダイル」
紙にパステル  364mm×515mm
「フクロウ」
紙にペン・マーカー・水彩絵具 515mm×364mm